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天野祐吉さん

高校2年生のとき、サッカー部をやめてヒマだったので、図書室の面白そうな本を漁っていた時期があった。雑誌コーナーの『Newton』の隣に国語の教科書を薄くしたような小ぶりの雑誌があり、とにかく表紙が格好よかった記憶がある。その雑誌は中も面白く、一年分のバックナンバーはすぐに読んでしまったので、当時の司書さんにお願いしうす暗い地下の書庫に連れて行ってもらった。そこにはその雑誌が5,60冊分はあったのだが、読み出したら止まらず、結局その日が暮れるまで書庫でその雑誌を読んでいた。翌日も同じように地下に籠って読んでいた。ちょっと大袈裟に言うとそれが『広告批評』との出会い。

僕はとくに広告一般は好きではない(『ブレーン』とか広告雑誌は興味ない)のだけど、『広告批評』は特集も連載も面白くてカッコ良かった。橋本治、しりあがり寿、ラーメンズ、佐藤雅彦、GROOVISIONS、高橋源一郎、ミシェルゴンドリー、児玉裕一なども『広告批評』で知った。完全に文明開化だった。その後、図書館で読むだけではもの足りず、司書さんと仲良くなって(後その司書さんをちょっと好きになる)結局、倉庫のバックナンバーをこっそり全部もらった(笑)。今でも実家に全号あるし、特に好きな10冊くらいは進学後も下宿先に持っていって、今も手元にある。

その『広告批評』の発行者で、毎回批評精神のあるコラムを書いていた天野祐吉さんが亡くなった。
「70過ぎてブログを始めるやつはいないだろう」と始められたブログは毎回面白くて、浪人生のときに勇気を出して一度だけコメントをしたことがあるのだが、すぐ返信のコメントを返して下すって、嬉しかった記憶がある。僕がso-netでブログをやっているのも、天野さんがso-netを使っていたからだし、朝日の連載「CM天気図」は母親に切り抜いて送ってもらいアーカイブしている。こうやって書いてみるとただのファンである。

はっきりものをいうこと、疑い深くなること、でもシニカルにはならないこと、褒めることも批評なこと、ユーモアとはなんたるか、などを天野さんのコラムを通して学んだ気がする。対象へのまなざしのあり方。

結局一度もお礼を言うことは出来なかったなあ。
ご冥福をお祈りします
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